新興市場の歴史
日本には東京、大阪、名古屋、福岡、札幌及びジャスダックの6つの証券取引所にそれぞれ新興市場(ベンチャー企業・中小企業向け証券市場)が用意されています。日本は世界でも最も小規模な企業に株式公開が開放されている国の一つと言っても良いでしょう。
日本の新興市場の歴史は1983年に遡ります。日本証券業協会が未上場株式の売買だけを行う市場として運営を行ってきた「店頭市場」の制度改革を実施。「新しい店頭市場」として公募増資を可能として、中小企業でも株式公開できる市場を創設したのです。これが今日のジャスダック証券取引所の前身です。
当時、東京証券取引所2部市場に上場するためには実質的には経常利益が10億円程度必要と言われていましたが、店頭市場への上場は3億円程度で良いとされ、株式公開の裾野が広がったのは間違いありません。
しかし、その間に世界的に注目を集めた米国の店頭市場NASDAQでは、赤字の会社でも上場が可能で、技術力と成長性を評価された会社が早期に上場していました。世界からベンチャー企業がNASDAQに上場を目指しその後の米国経済の成長を支えてきたことと比較すると、当時の日本の店頭市場の株式公開基準のハードルは高かったのです。
米国NASDAQに倣い赤字の会社でも株式公開を可能にしようということで1995年に日本証券業協会は店頭市場に「特則市場」を開設しましたが3銘柄で廃止。機は熟していなかったのです。
そこで日本証券業協会は1997年に、未公開株式の投資勧誘制度として「グリーンシート」を発足。また証券取引所の地域規制撤廃に伴い、国内8箇所あった証券取引所の統合が進むとともに、残った5証券取引所が市場の魅力を高めることを目的に新興市場を開設しました。1999年に東京証券取引所がマザーズを開設すると、翌年には大阪証券取引所が全米証券業協会と提携してナスダックジャパン(現:ヘラクレス)を開設。同時期に名古屋証券取引所がセントレックス、福岡証券取引所がQ-Board、札幌証券取引所がアンビシャスを開設したのです。
2004年には日本証券業協会が運営する店頭売買有価証券市場であった店頭市場が証券取引所の免許を50年ぶりに取得。新たにジャスダック証券取引所が誕生しました。ジャスダック証券取引所は全体が新興市場とも言えますが、2007年には新たに研究開発型企業のための市場としてNEOを開設しました。また、ジャスダック証券取引所の誕生によって、店頭市場の機能はグリーンシートに引継がれ、上場前の中小企業の新たな資金調達の場としての役割が期待されています。
このように国内の多くの証券取引所が、それぞれ新興市場を開設している例は他国にはありません。最も小さい規模で上場した会社の時価総額は4億円。成長力ある小規模企業が上場して資金調達を行うことができるという意味で、かつてのNASDAQのように世界から中小企業が集まってきてもおかしくないほど、日本の新興市場は高い国際競争力をもっていると言えるかもしれません。
新興市場の変遷
| 1943年 | 11ヶ所の証券取引所が統合され日本証券取引所が設立。 |
| 1945年 | 全市場の売買立会が停止、終戦後GHQにより取引所が閉鎖。業者間取引(株式集団売買)が開始。 |
| 1947年 | 証券取引法が制定。日本証券取引所を解散。 |
| 1949年 | 東京・名古屋・大阪・京都・神戸・広島・福岡・新潟に証券取引所を開設。業者間取引銘柄のうち証券取引所上場銘柄とならなかった銘柄が店頭銘柄として取引開始。 |
| 1950年 | 札幌証券取引所開設。全国9取引所。 |
| 1961年 | 店頭銘柄の取引の透明性を高めるために、東証、名証、大証に市場第二部を開設して店頭売買銘柄を格上。上場銘柄に格上されなかった100銘柄ほどが店頭銘柄として売買継続。 |
| 1963年 | 店頭登録制度が発足。 |
| 1967年 | 神戸証券取引所が解散。全国8取引所。 |
| 1976年 | 日本店頭証券㈱(現:株式会社ジャスダック証券取引所)設立。 |
| 1983年 | 「新しい店頭市場」として公募増資が可能な店頭市場(現:ジャスダック証券取引所)が発足。 |
| 1995年 | 店頭特則銘柄制度の発足。3銘柄で廃止。 |
| 1997年 | 証券会社に対する未公開株式の投資勧誘制度(グリーンシートの前身)が発足。 |
| 1998年 | 改正証券取引法により取引所集中義務を撤廃。 店頭市場が「店頭売買有価証券市場」として証券取引法上の位置づけを明確化。 日本店頭証券㈱が証券業登録を廃止し、株式会社ジャスダックサービスに社名変更。 店頭市場に選択マーケットメイカー制度を導入。 |
| 1999年 | 東京証券取引所がシステム売買を全銘柄に適用。立会場を閉鎖。 名古屋証券取引所が新興市場「セントレックス」開設。 東京証券取引所が新興市場「マザーズ」を開設。 新潟及び広島証券取引所が東京証券取引所と合併。 |
| 2000年 | 札幌証券取引所が新興市場「アンビシャス」を開設。 大阪証券取引所が全米証券業協会と提携。「ナスダック・ジャパン」市場を開設。 福岡証券取引所が新興市場「Q-Board」を開設。 京都証券取引所が大阪証券取引所と合併。 |
| 2001年 | 大阪証券取引所、東京証券取引所が株式会社化。 名古屋証券取引所が株式会社化。 |
| 2002年 | 大阪証券取引所が全米証券業協会との提携を解消。 「ナスダック・ジパン」市場が「ヘラクレス」(正式名称:ニッポンニューマーケット)に名称変更。 株式会社ジャスダックサービスが㈱ジャスダックに社名変更。 |
| 2003年 | 日本証券業協会がグリーンシート制度を改革し、実質的な店頭市場としての制度を整備。 日本証券代行㈱がグリーンシートの流通市場システムをPTS(私設取引システム)として整備。 |
| 2004年 | 株式会社ジャスダックが証券取引所免許を取得。ジャスダック証券取引所㈱に社名変更。 改正証券取引法においてグリーンシートを「取扱有価証券」として位置づけを明確化、インサイダー取引などの不公正取引規制を上場銘柄に準じて適用。 |
| 2007年 | グリーンシート銘柄に対してTDnetによる適時開示制度の運用開始。 ジャスダック証券取引所が新市場NEOを開設 |
新興市場の全体図

株式上場、グリーンシート株式公開に関するお取引の際には以下の事項にご注意ください。
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