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中小企業への資金供給の拡大を図る動きが活発だ。大手都銀も成長性の評価を重視した中小企業向け無担保融資に力を入れている。新銀行東京など中小企業を対象とする新しい金融機関にも期待が集まっている。
デットによる間接金融中心であった我が国の中小企業金融を、エクイティによる直接金融へシフトすべきとの議論が行われて久しい。エクイティファイナンスにより自己資本が増強されれば、財務体質強化を通じて金融拡大につながる。しかし、我が国では中小企業向けのエクイティファイナンスがほとんど機能してこなかった。本稿ではその原因を解明するとともに、一部の地銀・信金が活用を進めつつある中小企業向けの証券市場「グリーンシート」の公募増資による自己資本増強と融資拡大の実際について解説したい。
我が国において、エクイティファイナンスを活用している会社は、上場企業四千社弱と、上場を前提としてベンチャーキャピタルなどが投資リターンを期待する上場予備軍企業に限られている。年間の新規上場企業が多いジャスダック、東証マザーズ、大証ヘラクレスの三市場は上場数は2003年度実績で百三社。バイオなど市場で人気化している一部業種を除いてハードルは高い。
証券市場で規模の小さな会社が上場できないのには理由がある。証券市場が流通市場と発行市場の両輪と言われるが、実際は流通市場が中心だ。エクイティマーケットにおいては、流通市場の規模過去五年間の平均で年間二百兆円ほどであるのに対し、発行市場は一兆円に満たない。投資家の投資目的は流通市場における売買が中心だ。証券会社も流通市場での売買に適する金融商品として株式を供給している。流通市場の金融商品に求められるのは流動性の高さ。証券会社が積極的に取り扱うために手数料が大きいことも重要だ。要件を満たす株式は、一般に株式時価総額の大きな株式となる。その最低水準が二十億円ほどになる。
グリーンシートでは、新規公開企業の株式時価総額を従来の十分の一の二億円ほどの中小企業にまで下げることに成功した。その原因は、証券市場の構造を流通市場型から発行市場型へ転換していることにある。グリーンシートでは発行市場において企業の事業への資金供給を円滑にするために、流通市場での換金の場が用意されている。発行市場が主で、流通市場は補完的な役割を担っている。投資に参加しているのは、主として「拡大縁故増資家」と呼ばれる発行会社の身近な投資家だ。
例えば中国西安料理専門店チェーンの大秦はグリーンシートでの一億円の公募増資に三百人の顧客が株主として投資参加した。会社の事業は顧客、取引先、従業員など多くの「ご縁」によって支えられている。売買目的の金融商品に対して投資ニーズをもつ個人投資家は一千万人にも満たないが、「ご縁」によって身近な企業の株主になる拡大縁故投資のすそ野は広く、個人投資家層を拡大する効果も見逃せない。
グリーンシートにおける証券会社の重要な役割は、中小企業向け投資銀行としての機能だ。金融商品を品ぞろえして投資家に提供する機能に加え、発行会社の社会性や成長性、投資リスクを審査し、継続的なディスクロージャーに責任を負うことによって投資者の安全を図ることが求められる。
これは、預金者保護を目的として融資審査を行う銀行業務の正確に近い。金融庁は銀行に証券仲介行を認可制により解禁する予定だ。これは単に上場株式の売買手数料を銀行の付帯収益とすることを意図しているのではない。取引先の株式発行支援を可能にすることが目的の一つだ。融資先の自己資本増強により格付けを上げ、併せて本業の融資拡大につなげる。従来の新規上場企業となると、地銀・信金の融資先では年間で多くても二−三社。これに対してグリーンシートの対象企業は融資先の十社に一社に拡大する。
一部の地銀はグリーンシート取扱証券会社と提携関係の構築に動き出した。成長意欲ある中小企業を支援する銀行の本業を、エクイティとデットの組み合わせによって拡大していく可能性を秘めている。
ディー・ブレイン証券社長・公認会計士 出縄 良人
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