掲 載 記 事(日本経済新聞 1月25日掲載)


未上場株市場活性化へ一歩

 日本証券業協会が開設しているに上場企業株式の取引市場「グリーンシート」の改革案がまとまった。適時情報開示の推進や証券会社による審査の義務付けなどを柱に、取引所市場やジャスダック市場の規定に近づける内容だ。ただ、今回の改革案は市場活性化の起爆剤としては力不足との指摘もあり、継続的な見直しが不可欠といえる。

■登録企業が急増
 改革案では4半期決算の公表をはじめ企業の適時情報開示を推進するほか、取扱証券会社が成長性などを審査することを規定で明確化。証券会社が気配値や売買状況を協会へ報告しそれを協会が公表する頻度について、現行週1回以上との規定を毎営業日に見直す。さらに不公正な取引の排除を掲げるなど、幅広く網羅した。4月からの実施を目指す。
 抜本改革に乗り出した背景にあるのが登録企業の急増だ。グリーンシートの中でも成長企業を扱う区分の「エマージング」では登録企業が昨年末で約40社と1年前から2倍強に増えた。
 銀行の慎重な融資姿勢を受けて企業が資金調達先を広げているためで、グリーンシートが1つの受け皿として浮上している。こうした状況を踏まえ、金融庁でも昨年8月に打ち出した証券市場の改革推進プログラムの中でグリーンシートの拡充を日証協に要請していた。日証協関係者は「市場の信頼性が高まることで企業の資金調達時にベンチャーキャピタルなどの投資が見込める」と改革の効果を期待する。
 ただ改革案は目玉不足との印象が否めない。市場開設から関与し全登録銘柄を扱うディー・ブレイン証券の指導で、企業は4半期決算を既に開示しているうえ、同証券が登録審査や日々の公表も実施しているからだ。
 現在、銘柄を販売できるのは売りと買いの気配値を公表するディー・ブレインや東洋証券、泉証券など一部の証券会社の窓口に限られる。当初案では気配値を公表しない大手証券会社なども投資家から注文を受けられるように調整していた。

■参加者拡大なお課題
見送られたのは現行制度上、有価証券市場でないグリーンシート銘柄について、証券会社による投資勧誘行為をどこまで認めるかで関係者の見方が割れたためだ。それでも改革案では、ディー・ブレイン色が濃い市場から日証協が主導する「中立の市場」へと位置付けを明確にすることで、証券会社が参入しやすくなるとの期待がある。
 ただ現実には、大手証券にとって企業の調達額が数千万円と小粒ではコスト倒れとなり、よほど投資家の強いニーズがなければ参入する意味合いは薄い。
 売買の盛り上がらない原因が限られた参加者にあるのは確かで、参加者を増やし資金を呼び込む工夫がさらに必要だ。それが結果は未上場企業の資金調達の機会を広げることにもつながる。

グリーンシート改革案の主な内容
▼条件、審査など
・企業の条件に株式事務の体制整備を追加
・取扱証券会社が企業の成長性などを審査することを明文化
▼情報開示
・取扱証券会社が4半期報告を含む適時情報開示を指導
▼投資家の選別など
・取扱証券会社は投資勧誘で反社会的勢力の参入を排除
▼気配値・売買情報
・取扱証券会社は毎営業日に気配値・売買状況を協会へ報告、協会は当日に公表
▼流通機能の整備
・証券保管振替機構を通じて決済できるように検討
・売買が可能な時間帯や値幅制限を設定
▼不公正取引の排除
・取扱証券会社が不公正取引行為を監視・排除
・不公正取引監視のため、協会の売買管理体制の整備を検討

■グリーンシート
 未上場企業の資金調達の場として1997年に開設された市場。成長企業の「エマージング」地方企業の「リージョナル」、上場廃止企業の「フェニックス」に区分される。3区分を合わせた登録社数は昨年末に62社。昨年11月の月間売買代金は9600万円だった。登録企業になるのに利益基準などはないが、会社内容説明書を年1回開示することが必要。